昭和の特撮ヒーローソング名曲アーカイブス
ロンリーヒーローから僕らとともに戦うヒーローへと、ヒーロー像が変わっていったこの頃。ヒーローとは単に平和を守るだけでなく、僕らに正しさ、やさしさ、そして強さを教えてくれる存在だ。
大人になってその気持ちを忘れてしまったときは、もう一度特撮ヒーローソングを聴いて思い出してほしい。純粋な幼少期に教わったことは、きっとまだ心の中にあるはずだから。
メタルヒーローシリーズ2代目「宇宙刑事シャリバン」の主題歌で、ヒーロー自ら少年の奥底に眠る男の闘争心ってやつを引き出そうと語りかける歌。そのためか何のために戦うのか目的や敵については、歌詞中一切触れていない。サビは単語の羅列なんだけど、なぜだか妙に心に響いてくる。
というのも山川氏の書く詞には、他の特撮ソングと違って君のために戦っているんだみたいなヒーロー独特のオレ俺美学を捨て、一緒に戦おうっていう気持ちを大事にしているから他ならない。その魅力については、前ページでお話しした通りだ。
曲のほうは、終始カウベルがリズムを刻むスタイルで、同氏が書いたあのアニメの名曲「ローラーヒーロー・ムテキング」を彷彿させる感じがSO GOOD。
EDの「強さは愛だ」はどんな困難にも負けない強いハートと、それを乗り越えていく強さをテーマにした今の時代にピッタリの歌。サビがかなりいいので、一部抜粋。
明日が今日より いい日になれと祈ってる
悲しみに微笑んで 喜びに頷いて 思い切り 思い切り 生きようぜ
ここまで来ると悟りの境地だな。
作詞に80年代歌謡曲で人気の作詞家:康珍化(かんちんふぁ)氏を起用し、この作品からの方向性が見えてくるような主題歌。
注目のポイントは、間違いなく「宇宙の青いエメラルド」っていう歌詞にある。古来日本人は、青と緑の区別が曖昧だったことから、青々とした新緑とか青竹とか表現していたと思ったけど、バイオマンでもこうしたあいまいな表現を用いた。(※阿久悠氏もウルトラマンレオOPで地球を「宇宙に煌くエメラルド」と表現している)
サウンド面は、このあたりからシンセサイザーなどの電子楽器を多用し新世代風の曲調に変わっていく。EDソングはポップな感じではあるけれど、「あいつはニッコリ微笑んで 危険の中に駆けて行く」と、ほんの一行で危険を顧みない猪突猛進型ヒーローの覚悟とストーリーをイメージさせてくれるあたりは、まだ昭和の熱血漢ヒーローそのものだ。
今までのスーパー戦隊の主題歌とちがってシャッフルビートがきいた主題歌。ノリの良さが特徴で、KAGE(影山ヒロノブ)らしい歌唱が引き立っている。
今やアニソン界のプリンスも、特撮主題歌を歌うのが恥ずかしかったから、「KAGE」という名義で歌ったといわれている逸話があるのがこのチェンジマン。
のちにアニソンやら特撮ソングやらで活躍するようになってからは、影山ヒロノブの名を出すようになったということなんだけど、真相は本人にしかわからない。
でも結果として人生の転機になったんだから、まさに影山氏こそ「Oh チェンジ!チェンジ!チェンジ!」じゃないですか。これこそお手本にしたいような話で、そこでやっぱり大事なのは「人との出会い」と思い悩んだ末の自身の判断、全て意味があることだったということなんだろうなと勝手に想像。
メタルヒーローソングランキング |
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1位:宇宙刑事ギャバン |
2位:特救指令ソルブレイン |
3位:宇宙刑事シャリバン |
4位:巨獣特捜ジャスピオン |
怪人魔天郎を捕まえるべく、仲良し5人組によって結成された少年探偵団覇悪怒組。
魔天郎の正体は落合先生?と思わせる描写があるものの、結局は正体不明のまま。歌は「やせろチャールス豚3世」で馴染みのある大野方栄(まさえ)。
ホウエイじゃないんかい!?
大人になって解決したこの読み問題。とにかくポジティブにさせてくれる歌詞が魅力。うつむいたり、家にこもってたりしてないで、パワーを浴びに出かけよう。
スカンピンでも 心がリッチなら
そうさご覧よ ショーウィンドウに笑顔が映る
君も映っているよな!?
これも影山ヒロノブらしいノリのよさとスピード感のある主題歌。歌詞中の「気!気!オーラパワー」のところを「キック! キック! オーラパワー!」って、歌詞を見るまで間違っているとは気付かない子どもがたくさんいたな。
そしてあの印象的なオープニング映像からわかるように、この戦隊のコンセプトは肉体を鍛え上げることでオーラパワーを発動させるという、ずいぶん精神論というかオカルトチックなものをテーマにした戦隊。
少なからず当時大ブームだった「北斗の拳」の影響を受けているような気がする。さすがに秘孔は関係なかったが・・・。
作詞にはチェッカーズや荻野目洋子など、数々のヒット曲の作詞を手がけた80年代を代表するシティポップ系作詞家:売野雅勇氏を起用。よりJ-POPを意識した感じかも。
歴代屈指の名曲誕生!うたは超電子バイオマンで特撮界でのデビューを果たし、一躍名を馳せた宮内タカユキ氏。
これまでライダーシリーズの主題歌作詞のほとんどが作者石森章太郎氏によるものだったんだけど、仮面ライダーBLACKから作詞家の阿木耀子氏、RXには康珍化氏を起用。その動きからアニソンのJ-POP傾向が、このライダーシリーズでも少なからず影響を受けはじめたことがわかる。
ただ前作BLACK主題歌の歌唱力(Vo:てつを)が悲惨だったことで、その真価はわからず…。おかげでRX主題歌のかっこよさが際立つ結果となったわけ。
━ Wake Up The Hero! ━
RX主題歌はぼくらの心の奥底に眠る闘争心、そして勇気を奮い立たせてくれる特撮ヒーローソングなのだ。
BLACK RXのEDは、孤独の闘いの中に見出した感情を歌った哀愁ソング。
-ひとりぼっちじゃないのさ。誰かが、どこかで-
人は孤独を感じたとき、やはり温もりが必要なんだろな。